「グリーンエネルギー不況、ハイパーインフレ」に用心



令和3年10月19日
セリングビジョン株式会社


 日本でのコロナ感染者の急減が世界的に注目を集めている。ワクチン接種などの対策効果か、コロナウイルス自体の弱体化などがあげられるが、確たる要因がわからないためだ。
 とはいえ人命最優先の医療崩壊の懸念がひとまず去り、経済不況の脱出には好ましい現象であることは疑いがない。飲食、ホテル、交通産業や景気敏感のメーカーなど稼働率工事により雇用の増大にも期待したい。
 この長い世界的なコロナ構造上況のトンネルを抜けて、これから経済は「谷深ければ山高し」にリバウンドしてくるだろうか?

 いまの問題は、急激な世界経済の復興により、需要が伸び、供給源の半導体ばかりか、エネルギー資源が大幅に不足していることである。日本はエネルギー資源のほとんどを海外に依存し、エネルギー危機のショックに極めて弱い。かなめの準国産エネルギーの原子力が長期に止まっているからだ。化石燃料の代替電源開発のため政府補助金の大盤振る舞いをしてグリーン化を促進し太陽光発電、風力、バイオマスの発電供給増加を目指しても、これらは日差しや風の影響で不安定だ。
 いまカーボン対策で資源開発は縮減し安定供給の世界的危機にあるといっても過言でない。石油、石炭、天然ガスが不足し、火力発電が停止し中国、インド、欧州などでグリーン化政策のため計画停電が頻発し、工場稼働が停止している事例が多くなってきた。年初の米国テキサス州の寒波で広域大停電とガソリン、電気代の急騰の悪夢が頭をよぎる日本の経営者が多くなってきている。エネルギー資源の高騰は産業活動や一般生活に広範囲かつ長期間ダメージを与えるからだ。
 日本でもガソリン、ガス、電気料金は必然的に上がる。輸入資源なので円安が追い打ちをかける。すでに実際に急進しつつある。
 カーボンニュートラルを目指してグリーン化のため再生可能エネルギーにシフトするにしても、かなりドラスティックにやり過ぎると、エネルギー天然資源を海外依存しているだけに、ガソリン、ガス、電気、石炭は高騰し日本経済、日本企業、雇用者の生活は悪化することは明らかである。
 この処方箋としては、下記を検討すべきではないだろうか。

○企業
 エネルギー資源備蓄、長期取引トレード予約、自家発電、省エネルギー、蓄電池
○政府、エネルギー事業者
 海外資源確保交渉、安全稼働の審査終了の原子力再稼働の開始、火力・原子力の長寿命化、省エネルギー、実効ある政策立案

 なお、エネルギー資源の価格の高騰、下落は市場のメカニズムで決める国のシステムとなっているため、いたずらに価格規制しコントロールすべきではないだろう。

1000兆円を運用する世界最大のファンド、米国ブラックロックのCEOは、3ケ月前にCNNなどで、「完全にグリーンな世界を得るためには我々はハイパーインフレに直面する」と予見している。まさに黒田バズーカ砲でも効果が出なかった国内インフレ政策は、皮肉にも海外資源の高騰と円安の外圧で達成されそうな勢いである。
BCM(企業の事業継続経営)にエネルギーの安定供給対策がますます重要である。


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