「中国語検定試験の海外受託機関の北京国際会議」参加報告について
~中国政府、教育部国家漢弁主催。31ケ国62人の代表が参加~

                           

平成20年4月25日
セリングビジョン株式会社


 この4月上旬に、北京のホテル(西苑飯店)において、中国政府(教育部・国家漢弁)主催で、海外諸国で中国語検定(BCT、HSK、YCT)を実施する31カ国の受託機関が初めて集合し、セリングビジョンも中国語普及のための本国際会議に招待され参加してまいりました。当社は日本の検定機関の代表として、HSK日本実施委員会殿とともに参加いたしましたので、その模様をまとめてご報告いたします。
 当社も、今回の国際会議での議論と方向性を踏まえて、中国語の日本での普及を目指して、海外諸国の好事例を研究しつつ、受験者や企業、学校等になじみやすい試験制度の運営や、IT教育検定システム、語学教材の出版などに努めてまいります。

・今回の国際会議の特徴と海外中国語検定試験
<会議の特徴>
  • 中国政府公認の中国語を対外的に普及する国家漢弁が設立されて以来、初めての海外受託機関が集合した国際会議。
  • 世界の31ヶ国から検定機関の62人の代表が出席。
  • 日本ではHSKの受託機関のHSK日本実施委員会(日本青少年交流協会)殿とともに、BCT、YCTの事務局を昨年末に行った当社セリングビジョンが参画。
  • 目的は海外で中国語を普及するための課題や解決策を率直に議論し、活動の方向性を示すこと。
<海外の中国語検定試験>
  • 1991年に中国教育部・国家漢弁が海外で初めて中国語検定試験の受託機関を設立。
  • 現在、46ヶ国で、116の中国語の検定試験機関が認定。
  • 世界で累計91万人の受験者。2007年末までは、海外で13万9000人が中国語関係の試験を受験(HSK、BCT、YCT)。
  • 2008年の受験者数の目標は2007年の倍増。
  • 現在、国家漢弁が海外で行っている中国語公認試験はHSK、BCT、YCTの三つであり、今後、これらの検定制度を政策的にも重視する。
  • IT(情報通信技術)を駆使したコンピュータによる検定も活用(シンガポールで2回実施)。
海外における試験と管理体制の見直し、改善
  • 教育部の海外試験センターと国家漢弁の考試処は合同で「漢考国際試験公司」をこの4月からスタート(董事長は国家漢弁の趙国成副主任。総経理(社長)は教育部の海外試験センターの羅民氏が就任。)今後この公司が海外の試験業務を管理することとなり、国家漢弁の考試処の業務は、企画政策及び制定となります。海外における受託機関の選定は、国家漢弁の考試処と漢考国際試験公司によって行われます。
  • 今後、海外における中国語の検定受験者を増加させるために国家漢弁が海外で設置している孔子学院の受験参加を広く呼びかけます。
  • 各国のブロードバンド化に応じて、試験の電子化を進め、パソコンで国際試験をすることも検討します。これは、試験受託管理の効率化と的確化につながり、検定試験も含めて研修もやりやすくなり、受験生の満足度も上ると見られます。
検定試験の管理と受験者の各国の状況(日本を除く)について
 国家漢弁を代表して許琳主任は講演のなかで「中国語の検定は受講者へのサービスの意識をもち、各国の市場を意識し、試験方法を絶えず改善し、試験業務を効率化する必要があります」と述べました。また、中国語の検定の目的は、中国語の普及のためであり、検定のための中国語の普及ではないことを強調しました。特に、受験優秀者の表彰や受験のインセンティブ付与、検定料の徴収や試験業務の管理のあり方についてお話がありました。
 今回の会議では長年の検定実績を誇る17の受託機関が2007年度の優秀受託機関として表彰されました。
 世界では韓国の受験者が一番多く、2006年は3.7万人、2007年は4.2万人に増えました。次はシンガポールでの9000人でした。日本は2007年にHSKを受験した人数は6000人でした。ヨーロッパではフランスの受験者が一番多く、370人でした。北米地区では700人でした。特にBCTはシンガポールと韓国において成功しています。韓国では大手企業はBCTを企業の中国語レベルの評価基準としています。また韓国政府の教育省もBCTを重視しており、韓国の受託機関と一緒に国家漢弁を訪問しています。シンガポールの場合は、受託機関は政府の外郭団体であり、シンガポールの労働発展局(官庁)はBCTを再就職の審査基準としています。
日本における状況
 2007年日本のHSKの受験者人数は約6000人でした。BCT及びYCTの昨年末の第一回受験者人数は延べ1000人弱でした。但し、日本の中国語の学習者数から見て、受験生はまだ少ないといえます。受託機関としては、日本全国のスケールの受験範囲のことを考える必要があります。今後、日本における中国語検定の普及にあたっては以下のことについて調査研究を行う必要があります。
  • 中国語を普及するに当たっての市場の分析
  • 普及するための問題点はどこにあるかを検討。
  • 日本で行われている「中国語検定試験」(中検)が成功している理由をよく勉強すること(毎年約5万人の受験者)。
BCT(ビジネス)とYCT(小・中学生)及び既存のHSK(大学生など)との関係
 3つの試験は対象者、目的に応じて内容が異なります。今後は受験者の増加と合格者のメリットを考えた施策を取り入れます(進学、就職などに有利にするなど)。英語検定試験で比較すると、HSKはTOEFL、BCTはTOEICと似ており、YCTは子供・青少年向きの試験です。若年層のBCTとHSKの上位者では3割は級がダブります。目安は次のとおり。
  • BCT 3級=HSK 5級
  • BCT 5級=HSK 8級
 今後、アジアの韓国及び日本ではHSKとともに、主にBCTを普及させていきます。欧米諸国ではHSKとYCTを普及させます。韓国のHSK及びBCTの成功の経験を各国で水平展開させていきます。各国の中国語学習の市場と結びつけながら、BCT、HSK、YCTの中国語の検定事業を推し進めます。検定事業は営利事業ではありませんが、効率的な試験運営によって受験生のためになる工夫をして、市場性ある運営をしていくことが大切です。
孔子学院について
 2004年胡錦涛国家主席が世界で第一校目の孔子学院の設立調印式に出席して以来、2008年4月まで世界の約70ヶ国で、約240校の孔子学院が設立されました。現在は、世界で約3000校の大学で中国語の授業科目が開設されています。今でも国家漢弁に孔子学院を申請している海外の教育機関は60ヶ所あります。2007年に国家漢弁から3000名の中国人の中国語教師を海外の教育機関に派遣しました。孔子学院は中国文化及び中国語の普及の主力となっています。
<参考 会議関連写真>
(本国際会議での真剣な討議の模様)
(国家漢弁や北京大学の先生方からのプレゼンテーション)
(会場で熱心に聞き入る各国代表者)
(許琳主任、趙国成副主任と挨拶する当社社長の岡部)
(許琳主任と当社社長岡部、北京代表・張晶磊と記念撮影)
(欧米諸国や日本の検定機関の代表者で意見交換。張代表撮影)
(韓国をはじめとする検定機関の皆様と懇談)
(各国の参加者と国家漢弁幹部が集合して記念撮影)


<参考  中国政府公認(教育部)の中国語検定試験>
~日本にはHSKにつづき、BCT、YCTが2007年に初導入~
- BCT HSK YCT
日本語名称 ビジネス中国語検定試験 漢語水平考試 子ども・青少年向けの中国語検定試験
ロ |マ字表記 Business Chinese Test
略称BCT
Hanyu Shuiping Kaoshi
略称HSK
Youth Chinese Test
略称YCT
受験対象者 中国語が母国語ではない方 中国語が母国語ではない方 15歳以下で、中国語が母国語ではない方
認定証の用途
  • 中国企業、日本企業、及び中国と関連する国際企業への就職・転職
  • 世界に通用する中国語能力を備えている根拠
  • 大学、大学院等の進学に有利な資格。
  • 中国の大学に正規留学するための中国語能力証明
  • 中国で働いたり、暮らすための中国語能力判断
  • 有力な高校・大学受験のための準備
  • 国際社会で生きていくための備え
  • 英才教育の一環
等級 1級中国語を用いてビジネスに従事する能力はまだ備わっていない。
2級簡単な中国語を身につけており、ビジネスにおいて限られたコミュニケーションを行うことができる。
3級中国語を効果的に身につけており、それを用いてビジネスができる。
4級優れた中国語活用能力をもち、それを用いてビジネスができる。
5級非常に優れた中国語活用能力をもち、それを用いてビジネスができる。
HSK基礎(1級、2級、)日常生活や一般交際に必要な基礎中国語能力。
HSK初等(3級、4級5級)中国の理工系大学の学部入学最低基準に達している。
HSK中等(6級、7級、8級)中国の文科系大学の学部入学最低基準に達している。
HSK高等(9級、10級、11級)一般的に日常会話を自由にこなせ、中国語で責任ある仕事をするのに必要とされる語学力を有する。
1級自分や家庭、友達、学習、活動、興味などに関係する基本的な語彙力と、簡単なコミュニケーション能力がある。
2級短い言葉や段落を読んだり、学習生活と日常生活に関係する基本語句と簡単な文章を書く能力がある。
3級常用語句を理解する力や、一般的なコミュニケーション能力を持つ。短文を理解するとともに、一定量の漢字の書き取りと、簡単な文章を作成する能力がある。
アピ |ルポイント
  • 中国語の“TOEIC”とも呼ばれ、中国とのビジネスをするための交渉パスポートになると予定される。
  • 大学生や社会人の最有力資格。就職や昇給にもプラスになりえる。
  • 中国の有名大学に留学するためのアカデミックな資格。
  • 中国の大学生及び留学生とコミュニケーションができる。
  • 中国語の”TOEFL“とも言われる。
  • 将来の中国ビジネスを含めた国際的活動を行うための英才教育。
  • 進学にも有利な資格。
主催者
 ・
日本の事務局
中国教育部・国家漢語国際指導グループ弁公室
日本BCT事務局
<セリングビジョン>
中国教育部・国家漢語国際指導グループ弁公室
HSK日本事務局
中国教育部・国家漢語国際指導グループ弁公室
日本YCT事務局
<セリングビジョン>
問い合わせ 日本BCT事務局
<セリングビジョン>
東京都港区西新橋1-9-1
TEL:03-5251-3101
FAX:03-5251-6020
www.bct-jp.com
HSK日本事務局
大阪府豊中市本町5-1-1
教育センタービル
TEL:06-6857-3397
FAX:06-6843-1119
日本YCT事務局
<セリングビジョン>
東京都港区西新橋1-9-1
TEL:03-5251-3101
FAX:03-5251-6020
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以 上

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